日本看護研究学会雑誌
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褥瘡予防における体位変換時間の検討
-家兎耳翼加圧による組織学的変化より-
川口 孝泰武田 敏松岡 淳夫
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1983 年 6 巻 3 号 p. 3_51-3_62

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抄録
 長期臥床患者の看護ケアーにおいて,褥瘡予防は最も重要な課題の一つである。褥瘡は皮膚の長時間圧迫により起こると言われ,その予防には,体位変換の検討が必要とされる。現在体位変換は,2時間おきに行なうべきであると報告されているが,それは科学的実験に基づくものではなく,単に臨床経験に基づくものであると考えられる。そこで体位変換時間の基礎的検討を,家兎耳翼を用いて次の3種の実験をもって行った。
 ⅰ) 人体の体圧分布
 ⅱ) 人体の高圧部位及び家兎耳翼での皮膚阻血の検索
 ⅲ) 家兎耳翼における圧迫による組織障害
 人体の体圧分布での加圧の中心は,褥瘡好発部位に一致して見られた。加圧の中心での皮膚脈流は約100~150g/cm2(70~110mmHg)で消失した。又家兎耳翼での皮膚脈流は,約70g/cm2(50mmHg)で消失した。家兎耳翼での45~50mmHg,4時間及び65~70mmHg,2時間~4時間において明らかな顕微鏡的変化が見られた。又1時間開放においてもその修復所見は見られなかった。
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© 1983 一般社団法人 日本看護研究学会
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