抄録
【目的】産後女性の肥満予防の基礎データを得るため,産後の身体組成とエネルギー代謝に関連があるとされる自律神経活動の推移と関連を明らかにすることとした。
【方法】非妊娠時BMIやせまたは標準で,産後1年以内に3回協力の得られた女性49名を対象とし,身体組成(体重・体脂肪率)と自律神経活動を測定した。
【結果】体重と体脂肪率は産後の経過に伴い有意に減少していたが,産後9~12か月で「隠れ肥満傾向」34.7%,「隠れ肥満」16.3%,非妊娠時BMI標準者(35名)で非妊娠時体重への未復帰者28.6%であった。自律神経活動は産後時期による差はなかった。1日あたりの体重や体脂肪率の減少量と交感神経活動指標は負の相関,副交感神経活動指標は正の相関がみられた。
【結論】産後1年の経過に伴い体重や体脂肪率は減少を示し,自律神経活動は変化しなかった。しかし,体重や体脂肪率の減少には自律神経活動の関連が示唆された。