抄録
目的:終末期がん患者の清潔ケアにおける看護師の思考・感情・行為に焦点を当て記述することにより,緩和ケア病棟看護師の実践知を明らかにした。
方法:看護師5名の清潔ケア場面の参加観察と半構成的インタビューを行い,質的記述的に分析した。
結果:終末期がん患者の清潔ケアにおける緩和ケア病棟看護師の実践知に関する5つのテーマが得られた。看護師は【清潔行動への意欲がもてる状況を創り出す】,【患者の状況に突き動かされるようにケアする】などしてケアを見出す一方で,【押したり引いたりするようなかかわりをする】,【患者や家族の反応を探りながらケアする】など心地よさと安全性に視点をおいてケアを展開し,【ケアがもたらす意味を問い直す】ことが示された。
結論:終末期がん患者への清潔ケアは,変化する患者の状況や思いを細やかに捉える看護師の思考や感情,行為によって行われ,それが患者や家族にとって意味ある行為となっていた。