抄録
目的:看護学部3年生対象の成人看護学演習で上級生が模擬患者を演じた経験を明らかにし,上級生のリフレクションにつながる上級生SPの教育的効果について検討することとした。
方法:A大学4年生18名にSPを演じた経験について半構成化グループインタビューを実施した。
結果:【患者を大切にしたかかわりに気づく】【患者の心情を実感する】【看護職者として自分の看護に意味づける】【先輩の視線で下級生の援助をみる】の4カテゴリーが見出された。
結論:上級生SPの経験は,看護者としての視点,患者としての視点,先輩としての視点など多角的な視点から自らの看護を振り返る機会となっていた。とくに,実感した患者の心情,客観視できた看護者の態度や行動から看護職者としての自己への気づきを深め,看護そのものについて熟考していたと考える。したがって,上級生のSP経験は看護へのリフレクションを促す教育的効果があることが示唆された。