論文ID: 20211018164
目的:鍼治療は自律神経活動を調整し,更年期の女性が自覚する症状を緩和する効果があるかを検証した。方法:48名の更年期女性を,鍼治療の有無とほてりなどの症状の程度に応じて4群に分類した。実験中は看護師が見守りながら,鍼治療は7か所の経穴に10分間,1回/週の頻度で4回実施し,偽治療は同部位に鍼管のみで行った。24時間測定した自律神経活動を,心拍変動パワースペクトル解析法にて分析し,ほてり・発汗・冷えの症状は,Visual Analog Scale(VAS)で評価した。結果:実験─中等症群の夜間の副交感神経活動は上昇し,交感神経活動は低下した。また,ほてりの症状は4回の治療後に有意に軽減された。一方,中程度の発汗や冷えは,鍼治療の有無にかかわらず4回の治療後に有意に緩和された。結論:鍼治療と看護における「見守り」は,夜間の自律神経活動を調整し,ほてり・発汗・冷えの更年期症状を緩和することが示唆された。