著者のサルコイドーシス(本症)に関する研究は,その病因・病態・診断・治療の全般にわたって,疫学的あるいは臨床的に行ってきた.要点を以下に記す.1.発症や病態の悪化にstressful life events(ストレス)の関与が認められる.2.臓器非特異的全身症状として,痛み,疲れ,息切れ,しびれなどがある.これらは単なるサルコイドーシスの不定愁訴ではなく,本症に疾患特異性の高い特殊な病態と認識することが必要である.3.診断に関して,上咽頭の検索は本症の診断に有用であること,脊髄内視鏡検査で本症の脊髄病変の生検ができること,PET検査がBHLの活動性評価に寄与できることなどを示した.また,「サルコイドーシスの診断基準と診断の手引き-2006」策定について述べた.4.Propionibacterium病因論の支持として,基礎的研究,結核と比較した疫学的研究,全く無菌的環境である脊髄内視鏡生検で得られた本症の肉芽腫内にアクネ菌特異抗体に染まる像がみられた例を示した.5.治療に関して,「サルコイドーシス治療に関する見解-2003」について解説し,眼と心臓以外の本症の病変は内科医に管理されるべきこと,および抗菌薬治療の現状について述べた.