日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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シンポジウム-心臓サルコイドーシスの新たな展開
心臓サルコイドーシスの発症機構-アクネ菌病因説を基盤とした考察-
江石 義信
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2010 年 30 巻 1 号 p. 86-88

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抄録
 2008年度から行われている森本班研究において,心臓サルコイドーシス病変部組織におけるアクネ菌成分のPAB抗体による検出とその組織内局在に関して,解剖症例・切除生検材料・心内膜生検材料を用いた免疫染色法による解析を行った.これまでの森本班研究でわかったことは,1.心内膜生検組織内に異常所見(炎症・線維化)がない場合,PAB抗体免疫染色を行っても診断には役立たない.2.肉芽腫がなくても,なんらかの炎症病変がある場合には,免疫染色は有用である(感度77%,特異度100%).3.炎症巣以外での陽性像は疾患特異性に乏しく,特に心筋細胞内の陽性像は潜伏感染の可能性がある.結論としては,心臓サルコイドーシスを疑う心内膜生検で,明らかな肉芽腫を確認できないときでも,なんらかの炎症病変が含まれている場合にはPAB抗体免疫染色法で本症診断を確定できる可能性がでてきた.
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© 2010 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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