日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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症例報告
著明な自律神経障害を呈した神経サルコイドーシスの67歳男性例
藪内 健一岡崎 敏郎中村 憲一郎花岡 拓哉木村 成志森 敏雄平野 照之熊本 俊秀
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2013 年 33 巻 1 号 p. 139-145

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抄録

症例は67歳,男性.7年前より足先の異常感覚,3年前より下肢脱力を自覚した.1年前より嚥下障害が出現し,誤嚥性肺炎を繰り返した.筋力低下の進行から歩行不能となり当科入院となった.神経学的所見として,嚥下障害,四肢遠位優位の筋力低下と感覚障害,深部腱反射消失,排尿障害および起立性低血圧を認めた.末梢神経伝導検査では運動感覚性多発ニューロパチーの所見を示し,各種自律神経検査では交感神経の節前性障害が示唆された.ツベルクリン反応は陰性, 67Gaシンチグラフィにて縦隔および鼠径部に集積を認め,右鼠径リンパ節生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めた.腓腹神経生検では肉芽腫を認めなかった.以上から神経サルコイドーシスと診断した.プレドニゾロン投与により神経症状は著明に改善し,歩行可能となった.自律神経運動感覚性ニューロパチーを伴う神経サルコイドーシスは非常に稀であり,貴重な症例と考えられた.

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© 2013 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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