日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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解説
呼吸器感染症診療の最近の話題
咳嗽に着目した治療戦略
門田 淳一
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2013 年 33 巻 1 号 p. 75-78

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抄録

咳嗽は持続時間によって急性咳嗽,遷延性咳嗽,および慢性咳嗽に分類される.急性咳嗽の多くは感染性咳嗽で,ウイルス感染による風邪や急性気管支炎が原因となることが多く,咳嗽は通常7–10日程度で自然に治まるため基本的に抗微生物薬は不要である.咳嗽が2週間以上持続する場合には胸部X線検査を行って異常陰影の有無を確認する.マイコプラズマ,肺炎クラミジア,百日咳を考えた場合には,周囲への感染伝播を予防する目的でマクロライド系抗菌薬を投与する.遷延性・慢性咳嗽で喀痰中に好中球が多数認められれば副鼻腔気管支症候群を考え,治療として14員環あるいは15員環マクロライド系抗菌薬の長期療法を行う.一方,咳嗽反射低下に伴う不顕性誤嚥による肺炎は,超高齢者肺炎患者における最大の予後予測因子であり,抗菌薬による治療失敗は予後に影響を与えない.つまり抗菌薬のみでは予後の改善を図ることは難しく,咳嗽反射改善などに対する予防に重点を置いた戦略が求められる.

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© 2013 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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