日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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一般演題:口演1
若年性サルコイドーシスの 1 例
原田 潤中島 武之平 真理子金澤 伸雄
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2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 54-1

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抄録

症例は 3 歳 5 ヶ月男児。生後 8 ヶ月より四肢を中心に発疹が出現 し、1 歳時に前医を受診した。下肢の皮膚生検にて肉芽腫性疾患 を疑われたが確定診断に到らなかった。皮膚の乾燥による瘙痒を 伴っていたためステロイド軟膏外用が行われていたが、皮疹は消 退せず、転居に伴い当院を紹介受診した。初診時には四肢全周性 に地図状の褐色斑を認め、斑状の皮疹内に暗褐色で浸潤を触れる 粟粒大の丘疹を多数混じ、苔癬病変を形成していた。なお、今ま でに関節症状や眼症状を認めず、家系内に同症は無かった。組織 学的には真皮内にリンパ球浸潤に乏しい類上皮細胞主体の肉芽腫 を認め、NOD2 遺伝子検査で 1147G>A (E383K) 変異を認めたた め、若年性サルコイドーシスと診断した。若年性サルコイドーシ スは皮膚炎・関節炎・ぶどう膜炎を 3 主徴とする全身性肉芽腫性 疾患であり、NOD2 遺伝子の機能獲得型変異が原因とされている。 本邦ではこれまで文献的に約 30 例の報告があるが、1147G>A 変 異の報告はない。本疾患は皮膚、関節、眼症状という順番で発症 する事が多く、本症例でも関節炎や視力機能低下の予防のために 今後の定期的な観察が重要である。

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© 2015 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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