日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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症例報告
呼吸不全を呈した加湿器肺3例の臨床的検討
二橋 文哉北原 佳泰村上 有里奈岸本 祐太郎青野 祐也永福 建右藤 智啓佐藤 潤妹川 史朗須田 隆文
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2018 年 38 巻 1_2 号 p. 81-84

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抄録

呼吸不全を呈した加湿器肺3例の臨床像について後方視的検討をおこなった.全例新規に購入したしずく型の超音波式加湿器を,水を交換せずに注ぎ足して使用し,使用開始後3 ヶ月以内に発症していた.初診時のPaO2/FiO2の中央値は164(104-293)であり,1例で非侵襲的陽圧換気,1例でhigh flow nasal cannula,1例は通常の経鼻カヌラを使用した.胸部CTで,小葉中心性粒状影が主体であった例は無く,浸潤影,すりガラス影が混在し,器質化肺炎との鑑別を要するパターンが認められた.加湿器の使用中止とステロイド投与で全例改善した.加湿器の水のβ-Dグルカンとエンドトキシンはいずれも高値であり,加湿器の水の培養でグラム陰性桿菌,真菌や非結核性抗酸菌(Mycobacterium gordonae)が検出され,病態への関与が推察された.急性~亜急性経過の間質性肺炎の診断において,冬季には,加湿器肺も念頭においた詳細な問診が必要である.

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© 2018 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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