日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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総説
ANCA関連血管炎診療の進歩
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有村 義宏
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2019 年 39 巻 1_2 号 p. 19-24

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抄録

肺は豊富な血管網を有する臓器でANCA関連血管炎の主要な標的臓器の1つである.我が国のANCA関連血管炎の疫学的特徴として,疾患サブタイプでは顕微鏡的多発血管炎(MPA)が多発血管炎性肉芽腫症(GPA),好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)に比べ多いこと,ANCAサブタイプではMPO-ANCAがPR3-ANCAに比べ圧倒的に多いこと,GPAの半数はMPO-ANCA陽性例であること,MPAの45%に間質性肺炎の合併が見られることが挙げられる.また,MPO-ANCAは診断や活動性の判定だけでなく,寛解期における再燃予知の指標にもなることが明らかとなった.ANCA関連血管炎の治療は生物学的製剤であるリツキシマブがMPA,GPAに対して,メポリズマブがEGPAに対して保険適用となるなど,新たな時代を迎えている.これら臨床研究の発展により,難病であるANCA関連血管炎の一層の予後改善が期待される.

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© 2019 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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