日本口腔内科学会雑誌
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総説
造血幹細胞移植後の口腔領域合併症
牟田 毅二木 寿子赤司 浩一中村 誠司
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2013 年 19 巻 2 号 p. 35-47

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抄録

造血幹細胞移植は,造血器悪性疾患の長期寛解を可能にする。しかし強力な化学放射線治療による移植前処置により,移植後早期に重症の口腔粘膜障害(oral mucositis:OM)を合併する。さらに好中球減少や細胞性免疫低下に起因する二次感染を合併する。移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)の予防に用いるメソトレキセートもOMの増悪因子である。そのため血液内科医,歯科医師,看護師が協力し,患者教育を含めた総合的な口腔ケアを行うことが非常に重要である。一方,移植後長期間経過後も慢性GVHDの合併により,口腔粘膜の乾燥や疼痛などの症状が遷延する。そのため含嗽や保湿などのセルフケアや,口腔領域の定期健診の重要性が指摘されてきた。今後さらなる医療連携の進展を期待して,造血幹細胞移植後の口腔領域合併症についての最新知見も踏まえて概説する。

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