抄録
患者は86歳の女性で口蓋の潰瘍を主訴に受診した。総義歯を新しく作成後に潰瘍を自覚したため,義歯の調整を数回行ったが症状の改善はみられなかった。硬口蓋に多発性の潰瘍と発赤を認めた。潰瘍の表面は白色の壊死組織に覆われており,硬結は触知しなかった。CT画像で口蓋の骨破壊はみられず,生検の結果びまん性にリンパ球様細胞の浸潤を認めた。これらの細胞は免疫組織学的にCD3陰性,CD5陽性,CD30陽性,CD56陽性,CD57陰性,EBER1陽性であり病理組織学的にEBV関連T/NKリンパ増殖性疾患と診断した。ステロイドの投与で一時潰瘍の改善を認めたものの,心不全により死亡した。