抄録
口腔扁平苔癬(OLP)は角化異常を伴う難治性の慢性炎症性疾患であり,臨床的にいくつかの病型に分けられる。これらの中でびらんを伴う場合は食事や歯ブラシ時に痛みを訴え,口腔清掃状態が不良になる。口腔内の不衛生は二次的な炎症を惹起し,OLPの増悪因子になるため,びらん型OLPの患者に対し,歯科衛生士による専門的口腔衛生管理を行い,その臨床的意義について検討した。びらんを伴いセルフケアが困難であったOLP患者10例を対象とした。歯科衛生士による積極的な口腔衛生管理により全ての症例で口腔清掃状態と接触痛の改善を認めた。