日本口腔内科学会雑誌
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原著
シェーグレン症候群に伴う口腔乾燥症に対するピロカルピン塩酸塩の 改定小量多分割投与法の有効性に関する探索的研究
岩渕 博史石田 孝文佐藤 真理子岩渕 絵美
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2018 年 24 巻 2 号 p. 29-35

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抄録

ピロカルピン塩酸塩量の1回投与量を3.75mgとして1日4回服用(改定小量多分割投与法)させることにより,通常量投与した場合より治療満足感が向上するのではないかと考え,検討を行った。対象は10分間ガムテスト値が10ml以下のシェーグレン症候群症例で,ピロカルピン塩酸塩を通常量で1年以上服用している症例とした。対象患者は通常量の服用からwash outを置かず,改定小量多分割投与を8週間行い,投与前後の10分間ガムテスト値と乾燥感などの自覚症状を比較した。評価は26例で行った。平均ガムテスト値は,通常投与時は6.57±0.90ml,改定小量多分割法開始8週後では5.75±0.91mlで有意に減少した。また,夜間乾燥感の強弱で対象症例を2群に分け検討した。夜間乾燥感の強い症例における平均夜間乾燥感は通常投与時は3.57±0.79,改定小量多分割法開始8週後には1.86±1.07で有意に減少した。以上より,改定小量多分割法は夜間乾燥感の強い症例における乾燥感改善効果がみられることが示唆された。

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