白色海綿状母斑(white sponge nevus;以下,WSN)は粘膜に生じる白色病変のひとつで,その表面が特徴的な海綿状を呈し,粘膜の表面を擦過すると上皮の一部が剥離してくるのが大きな特徴である。
今回われわれは家族性WSN 2例ならびに非家族性WSN 5例を対象に,透過型電子顕微鏡を用いて細胞の接着構造に関して微細構造の変化を検討した。その結果,全ての症例で細胞間隙の拡大を認め,アタッチメントプラークに付着するケラチン線維束の減少がみられた。また,デスモゾームの変形や剥離像を認めた。このことからデスモゾームを介した細胞間の接着障害が,擦過で生じる病変部の剥離の原因となっている可能性が示された。さらにデスモゾームを介した細胞間隙の拡大は家族性WSN,非家族性WSNに共通した病態と考えられた。