日本東洋医学系物理療法学会誌
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第40回学術大会 特別講演
慢性閉塞性肺疾患の病態と治療戦略
永田 真
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 40 巻 2 号 p. 11-15

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抄録
 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease, COPD)は、主に喫煙によって発症する、肺・気道の慢性炎症性疾患である。気道の持続的な閉塞や気道分泌の亢進などによって呼吸障害を生じる。日本に患者数が500万人以上ともいわれるcommon diseaseである。喫煙により肺胞マクロファージや好中球などの炎症性細胞の持続的な活性化が生じ、末梢気道に炎症病態が発現する。とくにたんぱく分解酵素が、肺胞弾性繊維の損傷をきたし、肺胞の破壊を招来する。気道成分にも病的変化が生じ、気道過分泌状態を生じる。喫煙歴のある中高齢者が労作時呼吸困難を訴えた場合には、COPDを疑うべきである。ビア樽状胸郭がみられ、しばしば口すぼめ呼吸を呈し、呼吸補助筋を使用したり、努力性呼吸であったりする。ときに連続性ラ音が聴取される。胸部エックス線写真で肺の過膨張所見がみられる。呼吸機能検査では安定期であっても、常に1秒率が低下しており、不可逆性の閉塞換気障害を呈している。肺胞の損傷にともなって肺拡散障害を呈する。COPDでは気管支喘息との合併症候群、心血管疾患、消化管疾患、精神疾患、内分泌・代謝障害などの各種の併存疾患がみられ注意を要する。管理で最も重要なことは完全な禁煙である。呼吸器感染症予防としてのワクチンも重要な補助療法である。薬物療法としては気管支拡張薬が中心で、長時間作用型抗コリン薬、また長時間作用型β2刺激薬、あるいはその両者の配合剤による定期吸入療法が中心的である。日常のストレッチ/体操・運動を中心とした包括的リハビリテーションをふくむ理学療法はCOPDの管理上きわめて重要であり、すべての患者に推奨されるものである。理学療法は事実、多彩な臨床的恩恵をもたらす。COPDはしばしば気道感染を契機に急性増悪を示す。その際には気管支拡張薬、副腎皮質ステロイドの短期全身投与、抗生物質、酸素投与が行われる。進行期COPDでは在宅酸素療法が考慮される。
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© 2015 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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