日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
第40回学術大会 特別講演
呼吸機能と健康
本間 生夫
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 40 巻 2 号 p. 1-9

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抄録
呼吸機能は生きていくために必要な機能であり、呼吸運動調節により、適切な換気が行われている。エネルギー代謝に必要な酸素を取り入れ、産生される二酸化炭素の量を調節し、体の酸・塩基平衡を一定に保っている。この代謝性呼吸のほかに行動性呼吸があり、種々の内的・外的環境に適応した呼吸を生み出している。代謝性呼吸の中枢は延髄・橋の脳幹にあり、行動性呼吸の中枢は随意呼吸を司る大脳皮質運動野と情動を司る大脳辺縁系に存在する。大脳辺縁系内の扁桃体は感情を作りだす第一次中枢であるが、ここでも呼吸リズムが作りだされており、感情の変化に伴って呼吸が変化し、呼吸の変化に伴って感情も変化する。呼吸運動は呼吸筋の収縮により成立するが、この呼吸筋の動きを調節することにより、感情をコントロールすることが出来る。また、呼吸筋を柔らかくすることで、機能的残気量を下げることが出来、慢性呼吸器疾患の患者さんや高齢者の肺機能を改善することが出来る。呼吸筋ストレッチ体操は呼吸困難の軽減、肺機能の改善、気分の安定に効果をあげている。
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© 2015 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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