日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
原著
軽擦を主としたベビーマッサージが 母親の対児感情とメンタルヘルスに及ぼす影響
辻内 敬子堀内 勁
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 45 巻 2 号 p. 41-47

詳細
抄録
【諸言】我が国は、核家族化の進行に伴い、孤立した育児による産後うつや児童虐待の増加が懸念 されるようになった。育児不安の親を支える取り組みの一つとして、育てにくさを感じる親に寄 り添い、母親の愛着形成を促進することを目的としたベビーマッサージが注目されており、正常 産児にオイルを用いたベビーマッサージの研究が散見される。しかし、オイルを使わない軽擦の みのベビーマッサージによる影響の報告は未だ見られない。そこで、軽擦を主としたベビーマッ サージが、母親の対児感情とメンタルヘルスに及ぼす影響を検討することとした。
【方法】対象は、ベビーマッサージ教室に参加し、愛着が安定する生後 3 ヵ月以降の児をもつ 61 例の母親のうち要件を満たした 56 例(初産婦 45 例、経産婦 11 例)である。研究デザインは介入 前後比較とした。評価方法は、エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)と我が子のあつかい易さ質 問票、対児感情評定尺度とし、マッサージ前と 1 週間マッサージ実施後の変化で評価した。また、 2 回の教室参加日のマッサージ前後の計 4 回に唾液アミラーゼ活性値の測定をし、急性ストレスを 調査した。
【結果】平均年齢は 33.8 ± 3.5 歳、児の平均月齢は 4.8 ± 2.0 ヵ月であった。また EPDS 得点の平 均点、対児感情評定尺度の接近得点、拮抗指数と、我が子のあつかい易さ質問票の「扱いやすい」は、 前後で有意に変化した(P<0.01)。EPDS 高得点者(EPDS ≧ 9)は、9 例から 6 例に減少した。一 方、唾液アミラーゼ活性値は 2 日間の前後比較では変化がみられなかった。
【考察と結語】本研究は、EPDS 得点の減少、「対児感情評定尺度」の接近得点と拮抗指数の変化、「児 の扱いやすさ」の得点が増加し、児を肯定する感情と産後うつ傾向の改善を示した。その結果から、 軽擦を主とするベビーマッサージは母親の対児感情とメンタルヘルスに良好な影響を及ぼした可 能性が示唆された。
著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top