抄録
【目的】押圧強度に注目し、自転車エルゴメーターによる運動負荷テストを繰り返し行い、休息中に強度が違う押圧刺激を実施し、運動負荷テストによる運動能力の指標から押圧強度の違いによる運動能力への影響について検討した。
【方法】研究は健康成人男子 5 名(平均年齢 25.7 ± 5.4 歳)を対象とした。運動負荷は自転車エルゴメーターによるウインゲートテストを 10 分間の休息をはさみ、3 セット行わせた。各セット間の休息中に大腿前面および下腿後面に対して、母指圧迫により 1 点 3 秒にて約 2kg(以下、2kg 圧群)もしくは約 5kg(以下、5kg 圧群)、または 10 分間の無処置(以下、無処置群)とした。運動能力は、自転車エルゴメーターにウインゲートテストの測定結果として表示される指数(平均パワー、ピークパワー)を測定値として記録した。平均パワー、ピークパワーの推移について、1 セット目の平均パワーを 100 として 3 セットまでセット毎の推移を比較した。さらに各セットの運動に対する自覚的疲労感を VAS にて記録した。
【結果】平均パワーの 3 セット目について、2kg 圧群では 98.9 ± 1.9% となり、無処置群 91.3 ± 6.1%に比べ有意差(p<0.05)がみられた。しかし、5kg 圧群では 95.8 ± 2.8% となり、無処置群に対して有意差はみられなかった。ピークパワーの 2 セット目、3 セット目について、2kg 圧群では100.1 ± 2.4%(p<0.05)、101.5 ± 4.4%(p<0.01)と無処置群に対して有意差が認められた。自覚的疲労感について、2kg 圧群では 2 セット目 100.0 ± 1.7%、3 セット目 107.6 ± 4.6% となり、無処置群と比べ 2 セット目に有意に低くなった(p<0.001)。
【考察】筋への押圧刺激は循環促進を促すとされているが、押圧強度により平均パワー・ピークパワーが異なっており、運動能力への影響が異なることが示唆された。神経系の反射性抑制などの要因の関与も伺え、運動能力の維持回復には適度な押圧力であることが必要と思われた。
【結語】2kg 圧群では、無処置群や 5kg 圧群に比べ運動能力が維持され、押圧強度により運動能力への影響が異なることが伺われた。