抄録
【目的】スポーツ競技大会での鍼灸マッサージ施術ボランティアにおいて視覚障がい者と晴眼者がともに活動するための課題や方策を検討するため、施術者に対してアンケートを行い、今後の活動への示唆が得られたので報告する。
【方法】いきいき茨城ゆめ国体自転車(ロード・レース)競技大会において、大会関係者及び一般市民に対して鍼・マッサージ施術を提供した。施術者は視覚障がい者 5 人、晴眼者 7 人である。メイン会場内にテントを設置しベッド 5 床を用いた。利用者の希望に応じて施術者と相談の上、鍼・マッサージ・両方のいずれかを行った。施術は原則、視覚障がい者と晴眼者の 2 人 1 組で行った。利用者は受付で症状等に関する予診票を記入した。晴眼者は予診票の内容を視覚障がい者へ口頭で説明した。利用者には受付時に視覚障がいを有する施術者がいる旨を伝えた。また、利用者が
目視でもわかるように視覚障がい者に了承を得て左胸に星印のバッジを付けた。施術者 12 人に対して活動終了後に記述式アンケート調査を行った。調査項目は(1)ボランティア活動への意識、(2)施術における課題、(3)活動を行う上での自身の障がいで不便に思うこと、(4)活動する上で視覚障がい者と晴眼者が協働することに対する不安、(5)各項目の選択理由とした。
【結果】11 人(92%)の施術者に施術ボランティアの継続意欲を示した。すべての施術者に共通した課題は、環境の整備で、特に施術器具の配置の固定化に関することであった。4 人(80%)の視覚障がい者が活動中に不便を感じていた。3 人(43%)の晴眼者が何らかの不安を感じていた。
【考察・結語】アンケート結果から施術環境の整備、視覚障がいに対する理解と支援、視覚障がい者と晴眼者が協働するボランティア現場での多くの経験が活動を円滑にする方策となることが示唆された。本報告は視覚障がい者と晴眼者が協働してボランティア活動を実施するために役立つであろう。