日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
Print ISSN : 1340-4903
ISSN-L : 1340-4903
症例
腹腔神経叢ブロックを繰り返すことで疼痛を管理した膵癌の1症例
小島 祐子松下 智人安達 亙小松 修
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 16 巻 2 号 p. 161-164

詳細
抄録
膵臓癌の再発による痛みの治療で,オピオイドの服用を希望しなかったので腹腔膵神経叢ブロックを繰り返して行った症例を報告する.56歳の女性で,膵臓癌の手術2カ月後に再発し,左背部痛が増悪してきた.非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による鎮痛は不十分であったが,仕事を継続するためにオピオイドの服用を希望しなかった.仕事から引退するまでの10カ月間に,腫瘍の増大に伴い,痛みは両側の背部,腹部,肩に広がった.NSAIDsに加えて神経破壊薬を用いた腹腔神経叢ブロックを4回行い,疼痛をコントロールすることで仕事を継続することができた.退職後にはオピオイドを開始し,永眠するまで疼痛はコントロールされた.膵臓癌による疼痛で,オピオイドの服用を希望しない時は,腹腔神経叢ブロックを繰り返すことも有効な治療法と思われる.
著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top