日本ペインクリニック学会誌
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症例
閉塞性動脈硬化症に対する脊髄刺激実施中の末梢組織経皮的酸素分圧の測定が有用であった1症例
石川 慧介住谷 昌彦辛 正廣市原 剛央佐藤 可奈子関山 裕詩山田 芳嗣
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2011 年 18 巻 1 号 p. 15-18

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抄録
難治性の閉塞性動脈硬化症に対する脊髄刺激療法で,術中の末梢組織経皮的酸素分圧の測定が有用であった1症例を報告する.65歳の男性で,閉塞性動脈硬化症で足趾の切断術を受けたが,切断部に強い痛みが残存した.外科的腰部交感神経節切除術は無効で,薬物療法で痛みは軽減しなかった.痛みの軽減と局所血流の改善を目的に,脊髄刺激療法を試みた.試験の電気刺激時に痛みは即時的に軽減しなかった.しかし,患肢の末梢組織経皮的酸素分圧が上昇し,足趾切断部から出血しだした.脊髄刺激療法で患肢の血流増加が期待できると判断し,脊髄刺激電極およびジェネレーターを一期的に埋め込んだ.その後,脊髄刺激により下肢痛は軽減し,血管造影で末梢動脈血流が改善した.脊髄刺激療法の適応判断に術中の末梢組織経皮的酸素分圧の測定が有用であることが示唆された.
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© 2011 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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