日本ペインクリニック学会誌
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症例
高度肝腎機能障害を伴った急性帯状疱疹痛患者におけるプレガバリンの使用経験
大路 牧人境 徹也樋田 久美子澄川 耕二
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2012 年 19 巻 4 号 p. 527-530

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抄録
プレガバリンは神経障害痛に対して有用な薬剤であるが腎機能障害患者における使用法は確立していない.今回われわれは,高度肝腎機能障害を有する患者において急性帯状疱疹痛に対するプレガバリンの使用を経験した.症例は65歳の男性,3年前に肝移植術,2年半前より腎硬化症で慢性腎不全,半年前より慢性拒絶反応で肝不全となり免疫抑制療法中であった.6日前に帯状疱疹の診断で入院し,帯状疱疹痛の軽減目的に当科を紹介受診した.プレガバリンを25 mg/日で開始し痛みは軽減したが,8日目に浮動性めまいと平衡感覚障害が出現し投薬を中止した.10日目より腎機能の悪化のため透析導入となった.透析により副作用は減弱したが痛みが増強し,18日目よりプレガバリンを12.5 mg/日で投与を再開した.痛みは軽減し副作用も軽度であった.しかし,徐々に意識障害が出現したため,プレガバリンの投与を中止した.中止後に意識障害が肝性脳症によるものと判明した.プレガバリンは腎排泄性であり,腎機能障害患者では障害程度に応じて用量をきめ細かく調節する必要がある.また,肝機能障害患者ではプレガバリンの副作用と肝性脳症の鑑別に留意する必要がある.
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© 2012 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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