日本ペインクリニック学会誌
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原著
むちうち関連障害41症例における髄液漏出の検索―RI脳槽造影とCT脊髄造影の比較
橋爪 圭司渡邉 恵介木下 真佐子藤原 亜紀古家 仁
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2012 年 19 巻 4 号 p. 490-496

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抄録

【目的】むちうち症が,外傷による髄液漏出に起因するとの主張がある(外傷性脳脊髄液減少症).診断はRI脳槽造影が重視され,腰・仙椎での漏出が報告されている.特発性脳脊髄液減少症では,CT脊髄造影による診断の報告があり,頸・胸椎での漏出が多い.髄液漏出に関するRI脳槽造影とCT脊髄造影の比較はほとんどない.むちうち関連障害41症例で,両検査所見を比較した.【方法】交通外傷などの後に諸症状に病悩する41症例(男/女=19/22,平均38.0歳)を対象に,RI脳槽造影(111-インジウム1 ml使用)とCT脊髄造影(イオヘキソール10 ml使用)を行い,所見を比較した.【結果】RI脳槽造影で傍脊椎集積が20症例(49%)で認められ,19症例が腰・仙椎部であった.しかしCT脊髄造影では硬膜外貯留は1症例も認められず,傍脊椎集積と部位や形態が一致する神経根鞘や嚢胞が認められた.【結論】むちうち関連障害41症例の49%で傍脊椎RI集積が認められたが,CT脊髄造影所見と比較した結果,活動的な髄液瘻の存在は否定的であった.

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© 2012 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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