日本ペインクリニック学会誌
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原著
非急性帯状疱疹患者(皮疹発症30日以上の帯状疱疹患者)への三環系抗うつ薬増量の効果
平田 和彦比嘉 和夫廣田 一紀岩下 耕平崎村 桂子池田 真由美検見崎 裕柴田 志保
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2012 年 19 巻 4 号 p. 482-489

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抄録

非急性帯状疱疹(皮疹発症30日以上)の痛みの治療での三環系抗うつ薬の使用状況を明らかにするために,痛みが軽減していた内服量を非急性帯状疱疹の58症例で後ろ向きに検討した.当科を受診前に,抗うつ薬を26%が,抗痙攣薬を5%が内服していた.当科では88%の患者がアミトリプチリンまたはノルトリプチリンを,10-150 mg/日内服していた.58%の患者が抗痙攣薬のガバペンチンかバルプロ酸を内服していた.
アミトリプチリンの服用量の中央値は初回の10 mg/日(四分位範囲,以後略10-20 mg)から4週間後に50 mg/日(22.5-93.8 mg)に増量し,平均の痛みの強さは視覚アナログスケール(VAS)で66.5 mmから23.2 mmに軽減した.ノルトリプチリンの服用量の中央値は初回の10 mg/日(10.0-20.0 mg)から4週間後に30 mg/日(21.3-50.0 mg)に増量し,平均の痛みの強さはVASで60.6 mmから27.9 mmに軽減した.非急性帯状疱疹の痛みは三環系抗うつ薬で軽減するが,三環系抗うつ薬の認容量は個人差が大きく,至適投与量は症例ごとに違いがある.

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© 2012 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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