日本ペインクリニック学会誌
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症例
ストレッチ動作後に生じた脳脊髄液減少症に対する硬膜外腔への生理食塩液持続投与の効果
村田 雄哉猪股 伸一山口 哲人渡辺 雅彦玉岡 晃田中 誠
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2015 年 22 巻 1 号 p. 50-53

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抄録

患者は生来健康な26歳,女性.職業はキャビンアテンダント.勤務中に乗客の重い荷物を全身の力で頭上の棚に持ち上げ,その夜より強い頭痛と嘔気が生じた.頭痛や嘔気は立位や夕方に増強し,臥位で改善した.computed tomography(CT)脊髄造影で髄液漏出が認められ,脳脊髄液減少症と診断された.治療として硬膜外生理食塩液持続注入を行い,症状・activities of daily living(ADL)ともに改善がみられた.合併症が多いと考えられる硬膜外自家血注入を行わず,安全かつ効果的に治療することができた.また,非外傷性の脳脊髄液減少症は発症契機が不明なことが多いが,本症例では重い荷物を頭上に持ち上げるようなストレッチ運動が契機となった可能性が高いと考えられた.

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© 2015 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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