抄録
東日本大震災では,地震の被害と併せて津波の被害が起こり,これまでの経験から作成された指針等では想定できない状況が発生した。特に,津波による散乱がれきの撤去や津波堆積物の処理,廃棄物発生量の予測等は,それまでの考えでは想定できないもので,新たな対応が行われた。散乱がれきの撤去では,収集運搬に必要な道路が破壊され,浸水区域内の廃棄物撤去に必要以上の時間を要した。中間処理では,海水による塩分の対応が各施設に求められた。また最終処分では,処分量を抑える目的からリサイクル施設が多く整備され,焼却灰の造粒固化や津波堆積物の洗浄,および不溶化が取り入れられた。さらに,東京電力 (株) 福島第一原子力発電所の事故により放射性物質の汚染濃度が問題となり,廃棄物の広域処理が制限されたことも大きな特徴となっている。本報告では,これらの事象に対してコンサルタントの立場から計画策定に必要な視点を明らかにする。