日本ペインクリニック学会誌
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症例
左深頸神経叢ブロック後に一過性の著明な高血圧を示した1症例
仙田 正博石川 慎一上川 竜生古島 夏奈倉迫 敏明
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2016 年 23 巻 1 号 p. 16-20

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抄録
頸部の神経ブロックでは,目的としない部位への薬液の広がりで合併症を生じる可能性がある.今回われわれは,変形性頸椎症に対する深頸神経叢ブロック直後より異常高血圧を示した1症例を経験した.患者は70歳の女性,主訴は左後頭部から上腕への痛みとしびれであった.治療として後頭神経ブロック,浅頸神経叢ブロック,腕神経叢ブロックを施行し,残った後頸部の痛みに計3回の深頸神経叢ブロックを施行した.3回すべてのブロック直後より著明な血圧上昇を示したため,以後の神経ブロックを中止した.星状神経節ブロック後の異常高血圧の報告は複数あるが,深頸神経叢ブロック後の異常高血圧の報告はない.交感神経や迷走神経に近い頸部の神経ブロックでは直後のバイタルサインの確認が重要である.
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© 2016 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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