日本ペインクリニック学会誌
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症例
パルス高周波法が著効した上殿皮神経障害の1症例
金出 政人久芳 昭一吉田 省二本川 哲宮﨑 昌利菅 尚義
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2016 年 23 巻 4 号 p. 555-558

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抄録

腰痛の原因の一つに,上殿皮神経(superior cluneal nerve:SCN)が腸骨稜近傍で胸腰筋膜を貫通する際に絞扼・牽引されて生じる上殿皮神経障害(disorder)(SCN-D)がある.今回,SCN-Dに対して超音波ガイド下にパルス高周波法(pulsed radiofrequency:PRF)を施行し,良好な鎮痛効果が得られた症例を経験したので報告する.症例は76歳の女性.とくに誘因なく左臀部痛が出現し,数分間も座れず座位で食事ができない状態であった.整形外科でL5/S1左椎間孔部狭窄症と診断され,薬物療法,骨盤牽引,腰部硬膜外ブロック,左L5神経根ブロックが施行されたが,無効なため麻酔科・ペインクリニックに紹介となった.SCNの走行する左腸骨稜部に,左臀部外側へ放散痛を呈するトリガーポイント(TP)があり,TP注射後に座位時の痛みが消失したためSCN-Dと診断した.しかしTP注射の鎮痛効果は数時間しか持続せず,TP近傍の超音波検査を行ったところ,腫脹したSCNを確認したため,長期鎮痛効果を期待して,超音波ガイド下にPRFを施行した.PRFの鎮痛効果は1カ月以上持続し,座位での食事も可能であった.

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© 2016 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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