日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
Print ISSN : 1340-4903
ISSN-L : 1340-4903
原著
当院ペインクリニックにおいて悪性疾患の診断を得た症例の検討
木村 さおり御村 光子宮本 奈穂子
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2018 年 25 巻 4 号 p. 263-267

詳細
抄録

ペインクリニックにおける診断の際には,常に悪性疾患を念頭に置く必要がある.当科受診により悪性疾患が判明した13症例について,主訴,判明した悪性疾患,症状の発現機序,他科からの紹介の有無,診断に至る経過について後方視的に検討した.13症例中10症例が他院紹介であった.主訴は4症例が帯状疱疹痛であり,9症例は悪性腫瘍原発巣または転移による痛みであった.症状出現から当科受診までの期間,受診から診断までの日数の中央値は各々35日,1日であった.10症例は当科での画像診断により悪性疾患が判明,うち7症例は初診当日のMRI,CT検査により診断された.当日診断に至らなかった6症例は,画像診断が再診以降となった4症例(診断まで3~14日)と,当科初診時に悪性腫瘍を疑い他科に精査を依頼後診断までに時間を要した2症例(28~30日)であった.ペインクリニックでは他科で診断を得たうえでの紹介症例が多いが,他に悪性疾患が潜在している症例もある.今回の研究では,身体所見,検査所見上悪性疾患を疑った場合はペインクリニックでイニシアチブを取り,精査を進めていくことが速やかな診断に結びつくという結論を得た.

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top