日本ペインクリニック学会誌
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総説
三叉神経痛に対するサイバーナイフを用いた定位放射線治療
髙橋 弘
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電子付録

2019 年 26 巻 4 号 p. 279-287

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抄録

サイバーナイフ(CK)の特徴は,従来の定位放射線治療装置で使用されていたガントリーに代えてロボットが採用され,患者の位置を正確に認識できる病変追尾装置が装備されたことであり,固定がフレームレスとなった.また,治療計画時に一点にビームを収束させるisocentricという方法と,一点に集中させずビーム強度の変化により3次元的な線量分布を形成するnon-isocentricという2通りの照射方法を選択できる.これらの特性はガンマナイフ(GK)とは異なるが,従来GKが行ってきた特発性三叉神経痛の治療をCKも同様に施行することが可能で,しかも高齢者に発生しやすい三叉神経痛治療において非侵襲的固定のフレームレスであることの利点は大きい.また,個人差の多い三叉神経の走行に対して照射法を選択できる点も有用である.このCKとGKの定位放射線治療の結果を,自験例および最新の報告例から検証してみると,初期除痛効果および治療後合併症としての三叉神経障害に関して大きな相違はみられず,サイバーナイフ定位放射線治療の適応は今後ますます拡大していくものと思われる.

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© 2019 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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