日本ペインクリニック学会誌
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原著
当院外来患者のアミトリプチリンとノルトリプチリンの副作用による内服中断の検討
桑原 沙代子佐伯 美奈子
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2020 年 27 巻 2 号 p. 143-148

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抄録

【目的】三環系抗うつ薬は,神経障害性疼痛に対する有効性が高いが,鎮静・抗コリン作用などの副作用がある.アミトリプチリン(amitriptyline:AT)とノルトリプチリン(nortriptyline:NT)の鎮痛効果は同等で,忍容性はNTのほうが高いと報告されている.当院外来のAT・NTの副作用による内服中断症例数および副作用の種類を検討する.【方法】2015年7月~2018年1月に,新たにAT・NTを処方した症例を診療録から後方視的に抽出した.主要評価項目は,副作用による内服中断症例数と副作用の種類とした.【結果】対象症例は87例(AT 37例・NT 50例)で,主要評価項目の中断症例数はAT群7/37例(18%),NT群7/50例(14%)だった.副作用は,眠気(6/37,2/50例),尿閉(0/37,2/50例),便秘増悪(1/37,1/50例),採血検査異常(0/37,2/50例)だった.【結論】ATとNTはともに副作用による内服中断があり,その頻度は本検討では同程度であった.ATとNTは有効な薬だが,副作用により中断する可能性があり,十分注意して処方する必要がある.

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© 2020 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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