2021 年 28 巻 2 号 p. 17-21
72歳,女性.13年前開腹回盲部切除術が施行され,7年前から右下腹部創部痛が出現した.創上端部に一致した圧痛を認め,Carnett徴候陽性であったため前皮神経絞扼症候群(anterior cutaneous nerve entrapment syndrome:ACNES)と診断した.圧痛部位に腹直筋鞘ブロックを施行し,痛みは消失した.その後創下端部痛が出現し,同様の症状を訴えたため再度ブロックを施行したが,効果は一時的であった.20カ月間同部位にブロックを繰り返した.痛みはブロックにより緩和するが,短期間で再燃した.治療を続けた結果,痛みの改善は不十分であるが,患者のQOLは改善した.