帯状疱疹に合併する運動神経障害は比較的まれであるがADL障害が問題となり,注意が必要である.今回,保存療法を行って運動障害が改善した帯状疱疹後神経痛の症例を報告する.患者は60代男性.潰瘍性大腸炎に対して免疫抑制療法中に帯状疱疹を発症した.抗ウイルス薬の静脈投与に加え,痛みの治療にアセトアミノフェン,プレガバリン,ノイロトロピン®を使用されたが,効果不十分で発症から5カ月後にペインクリニックに紹介された.初診時に左C7からT3領域に色素沈着とアロディニア,左肩関節外転運動障害と左握力低下を認めた.デュロキセチン,光線療法を追加し,自宅でのリハビリテーションを奨励した.初診から7カ月で握力はほぼ回復した.