日本ペインクリニック学会誌
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総説
ICD-11時代のペインクリニック―国際疼痛学会(IASP)慢性疼痛分類に学ぶ
森脇 克行大下 恭子堤 保夫
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2021 年 28 巻 6 号 p. 91-99

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抄録

2022年1月1日に国際疾病分類第11版(ICD-11)が発効される.ICD-11には,はじめて慢性疼痛の分類コードが加えられる.この分類コードは国際疼痛学会(IASP)のタスクフォースによって開発された慢性疼痛の体系的な分類に基づいている.分類の特徴は慢性疼痛を3カ月以上持続または再発する痛みと定義した上で,慢性一次性疼痛と慢性二次性疼痛に分けたことである.慢性一次性疼痛には基礎疾患や組織障害が明らかでない線維筋痛症や複合性局所疼痛症候群などの慢性疼痛症候群が含まれる.一方,慢性二次性疼痛は基礎疾患や組織障害による二次的な疼痛で,病態や身体部位によってさらに6つのカテゴリーに分類されている.IASPの分類には慢性疼痛に関する最近の新しい科学的知見をもとにした疼痛概念が反映されており,今後の慢性疼痛の診療に大きな進歩をもたらすと考えられる.また公開されたWHOのICD-11ブラウザは,慢性疼痛の診療用ツールとしても有用である.

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© 2021 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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