65歳男性.乗用車運転中の交通事故にて受傷後,左頸部から上肢にかけての痛みが出現し,MRIで頸椎椎間板ヘルニアと左椎間孔狭窄を認め,保存治療を開始した.経過中,左肩腱板損傷を指摘され,鏡視下腱板断裂修復術を受けた.その後も左上肢痛としびれが改善せず,受傷より1年後,整形外科より頸部神経根ブロック目的にペインクリニックへ紹介となった.左C6神経根ブロックは頸部痛には効果があったが左上肢しびれには変化がなかった.ペインクリニックでの問診にて,受傷後から耳鳴が持続し生活に支障をきたしていることが分かった.後頸部痛の軽減目的に左大後頭神経ブロックを行ったところ著効し,耳鳴にも効果を認めた.超音波ガイド下に,左大後頭神経に高周波パルス法(42℃,2 Hz,20 ms,45 V,6分間)を施行したところ,耳鳴,頸部痛の軽減が得られ,効果は約3カ月持続し,抑うつ傾向にも改善がみられた.外傷性頸部症候群に伴う耳鳴に大後頭神経ブロックが著効し,さらにパルス高周波で長期的効果が得られた1例を経験した.