2024 年 31 巻 6 号 p. 89-98
神経障害性疼痛治療は長期化しやすく,神経障害性疼痛治療剤の長期投与時の安全性評価は重要である.本調査は2020年10月以降に末梢性神経障害性疼痛に対するミロガバリン(タリージェ®錠:以下,本剤)投与患者を対象に,投与開始後12カ月間の糖尿病の悪化・発症,視覚障害,低血糖,突然死などの発現を評価した.安全性評価対象は1,519例(糖尿病合併259例,糖尿病非合併1,260例)であった.投与継続例660例中電子添文の有効用量まで増量しなかった症例は424例であり,その理由が有害事象の症例は6例であった.投与中止例859例中有害事象による中止は66例であった.糖尿病の悪化,糖尿病の発症および視覚障害の発現割合は,4.25%(11/259例),0.08%(1/1,260例),0.07%(1/1,519例)であり,そのうち重篤な事象は糖尿病の悪化の1例で,本剤との因果関係は否定された.低血糖と突然死の発現は認められなかった.本調査では,ミロガバリン長期投与による糖尿病の悪化・発症,視覚障害,低血糖,突然死およびその他安全性について,新たな懸念は認められなかった.