2025 年 32 巻 1 号 p. 1-6
慢性疼痛患者の痛みや気分,QOLを改善するための治療法として,認知行動療法が行われている.近年,治療へのアクセスが容易なインターネットを利用した心理療法が注目を集めている.われわれは広島大学精神科で作成した対面式の集団認知行動療法(cognitive behavioral group therapy:CBGT)を基に,週1回,合計12回のオンラインCBGTプログラムを作成し,慢性疼痛患者30名を対象に効果を検証した(前後比較の予備的検証).主要評価項目として痛みの強度(visual analogue scale:VAS)を3時点(待機開始時T0,治療前T1,治療後T2)で実施した.その結果,T2でのVASがT0およびT1と比較して有意に改善していた[T0:73.0(22.1),T1:73.9(22.1),T2:58.8(27.3),平均(SD),paired t-test,p<0.001,効果量d=0.95].本研究結果から,慢性疼痛患者に対してオンラインCBGTが効果的であることが示唆された.今後対照群の設定による効果検証や治療後の効果持続期間を明らかにする必要がある.