日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
Print ISSN : 1340-4903
ISSN-L : 1340-4903
原著
変性腰部脊柱管狭窄症に対する経皮的硬膜外癒着剥離術におけるカテーテル先端位置とCT硬膜外造影所見の比較
中村 大輝橋爪 圭司上北 郁男
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2025 年 32 巻 3 号 p. 55-60

詳細
抄録

経皮的硬膜外癒着剥離術は,硬膜外腔の癒着が推測される脊柱管狭窄症にも適用される.Racz原法では,脊柱管腹側にカテーテル(以下,カテ)先端を誘導し,主に液性剥離を行う.われわれはカテ先端が脊柱管腹側に位置していなくても,しばしば硬膜外腔や神経根が造影されることを経験した.今回,変性腰部脊柱管狭窄症を対象に,カテ先端位置と硬膜外造影の関連性を後ろ向きに調べた.方法:2022~2023年に仙骨裂孔法Raczカテーテル治療を受けた変性腰部脊柱管狭窄症57症例の術中カテ先端位置(腹側,背側)と術後computed tomography(CT)硬膜外造影を比較した.結果:カテ先端位置は腹側28症例,背側29症例であった.それぞれのCT硬膜外造影は,腹側造影あり100% vs 96.6%,腹側・罹患側造影あり96.4% vs 96.6%,腹側・罹患側・罹患高位造影あり92.9% vs 86.2%,罹患神経根造影あり71.4% vs 72.4%で,いずれも有意差は認められなかった.結論:変性腰部脊柱管狭窄症に対するRaczカテーテル治療では,脊柱管腹側にカテ先端が位置しなくても,ほぼ目的部位に薬液を投与することができた.

著者関連情報
© 2025 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
次の記事
feedback
Top