論文ID: 19-0035
慢性痛に対しては心理アセスメントが重要視され,時に精神療法も奏効するが,急性痛においては慢性痛のそれに比して重視されることが少ない.今回,身体症状症および関連症群と判明した急性両下肢痛の小児症例を経験した.10歳の女児が身体的に有意な契機なく両下肢痛,歩行困難を自覚し,両膝屈曲不能で車椅子で受診し入院した.各科診察,各種検査で原因不明であった.入院5病日に学校担任教師の面談後,両下肢痛が消失し歩行可能となった.身体症状症および関連症群に分類される短期身体症状症と診断された.心理社会的因子の解消により急激に改善し得る重度急性痛が存在することが判明した.小児急性痛症例でも心理的アプローチが有用である可能性が示された.