日本ペインクリニック学会誌
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上肢CRPS type Iが脊髄刺激電極法により改善した頸椎手術歴を有する1症例
祖父江 和哉津田 喬子竹内 昭憲伊藤 彰師藤田 義人真砂 敦夫勝屋 弘忠
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キーワード: 脊髄電気刺激, 脊椎手術
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2003 年 10 巻 1 号 p. 42-45

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抄録
脊髄電気刺激 (spinal cord stimulation: SCS) による疼痛治療は, 硬膜外ブロックや薬物療法等が無効な failed back surgery syndrome や complex regional pain syndrome (CRPS) に対して行われる. 脊椎手術後患者に対する電極留置は, 硬膜外腔癒着のため困難が予想される. 頸椎後方除圧術後の上肢CRPS type Iに対して頸椎レベルにSCS電極を経皮的に留置でき, 良好な終痛緩和が得られた症例を報告する, 症例は64歳, 男性. 第4・5頸髄髄内病変と頸椎脊柱管狭窄に対し第3-6頸椎椎弓形成術を施行後に, 左上肢痔痛とアロディニアが増強し, 硫酸モルヒネ内服でもコントロールできないため, 当院麻酔科を受診し, CRPS type Iと診断した. 薬物療法や神経ブロック療法等が無効であったため, SCSを施行したところアロディニアはただちに改善され, 硫酸モルヒネも漸減できた. また, 長期的効果も認められた. 頸椎手術後の上肢CRPS type Iに対し, 他の治療に反応が乏しい場合, 脊髄刺激電極留置は治療法の一つとして選択できると考える.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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