日本ペインクリニック学会誌
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術後痛の治療中にパンコースト腫瘍が見つかった1症例
平川 奈緒美堤 智子香月 亮十時 忠秀
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2003 年 10 巻 1 号 p. 38-41

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抄録
肺尖部ブラ切除術を受けた患者が, 術後の遷延した痛みの診断で複数の施設で治療を受け, 診断が遅れたパンコースト腫瘍の1症例を経験した. 37歳, 男性. 胸腔鏡下肺ブラ切除術を受けた後, 左前胸部および腋窩部痛のため, 複数の病院で薬物療法や神経ブロック療法などの治療を受けていたが, 疹痛コントロールが困難となり, 当院へ紹介された. 当院受診時の胸部X線では, 左肺尖部の胸膜肥厚が認められた以外に異常陰影を見つけることができなかった. 星状神経節ブロック, 硬膜外ブロック, 抗うつ薬などによりいったん痛みは軽快したが, 再び増強したため原因再評価を目的に, 胸部X線, 頸部と胸部のMRIなど施行したところ, 肺尖部腫瘍を認めた. 腺癌の診断で放射線治療, 化学療法の後, 左肺上葉切除および胸壁合併切除を行ったが, 術後9ヵ月後に腎および副腎への転移のため死亡した.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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