日本ペインクリニック学会誌
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慢性動脈閉塞症
当院における10年間の成績
入内島 伸尚齋藤 繁富岡 昭裕西川 光一吉川 大輔後藤 文夫
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キーワード: 四肢切断
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2003 年 10 巻 4 号 p. 490-494

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抄録
重症な慢性動脈閉塞症(TAO, ASO)では, さまざまな治療にもかかわらず四肢切断に至る患者が多い. そこで, どのような因子をもつ患者が切断に至る危険性があるか調査した. 最近10年間に当院麻酔科で入院治療を受けた慢性動脈閉塞症患者の喫煙率, 合併症, ankle brachial index (ABI), 総コレステロール(TC)/高比重リポ蛋白(HDL)の比について調査した. 患者数はTAO63人, ASO 40人, その他4人で男99人, 女8人だった. これらの患者は抗血小板薬や血管拡張薬の内服, 高圧酸素療法, 交感神経ブロックなどの治療を受けていた. 患者の喫煙率はTAO 84.1%, ASO 80.0%でTAOの切断患者では100%だった. 合併症は糖尿病, 高血圧ともにASOの患者群で多かった. ABIは切断群で0.5±0.5, 非切断群で0.7±0.5と切断群で低かった(p<0.05). TC/HDLは切断群で5.5±1.5に対し, 非切断群で4.4±1.6と切断群で高かった(p<0.05). ABIの低下とTC/HDLの上昇は予後に相関した. 今後, 切断に至る可能性のある患者に対し自家骨髄幹細胞移植などの血管新生療法を考慮すべきである.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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