日本ペインクリニック学会誌
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帯状疱疹により脊髄炎をきたした症例
小幡 良次柚木 裕司上原 博和若井 正一
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2004 年 11 巻 1 号 p. 20-24

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抄録
帯状疱疹が原因と考えられる脊髄炎を報告する. 患者は85歳の女性. 右L1領域の帯状疱疹発症後13日目に右大腿前面の発作性筋痙攣様疼痛が出現したため, 疼痛治療の目的で硬膜外ブロックを行った. 帯状疱疹発症後18日目 (持続硬膜外ブロック開始後2日目) に右下肢の筋力低下がみられ, 21日目には左T11以下の温痛覚低下, 両膝蓋腱反射亢進が発現した. MRI (T2強調画像) では, T9~T10椎体レベルの脊髄中央に帯状の異常信号を認め, 血液中と脳脊髄液中の水痘・帯状疱疹ウイルスの抗体が高値を示していた. 発症の経過, 検査結果から帯状疱疹が原因の脊髄炎と考えられた. 帯状疱疹の患者で, 硬膜外ブロックを行っている際, 新たに神経症状が出現した場合には脊髄炎合併の可能性も念頭に入れる必要がある.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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