マイコトキシン
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Research Papers
Fusarium graminearumTri4 遺伝子のプロモーターをトリコテセン生合成遺伝子クラスターの末端に配置すると機能しない
東海 武史中嶋 佑一市川 雛代前田 一行西内 巧小林 哲夫木村 真
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2013 年 63 巻 1 号 p. 17-25

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抄録

 トリコテセン生合成遺伝子クラスターの中心の領域には,2つの経路遺伝子と 2つの調節遺伝子の合計 4つの生合成遺伝子(Tri 遺伝子)が存在し,トリコテセン基本骨格を形成する.このうちの1つ Tri4 遺伝子は多機能シトクロム P450 をコードし,トリコテセン産生条件下で高レベルに発現が誘導される.遺伝子クラスター外の全く関係のないところには Tri101 が単一遺伝子として存在し, Fusarium graminearum においてはトリコテセンの毒性からの自己耐性に寄与している.これらのプロモーターの活性を,毒素産生誘導条件下で GUS 遺伝子をレポーターとして用い, TEF1α 遺伝子(高レベルで発現する翻訳伸張因子をコードする)のプロモーターの活性と比較した.クラスターの末端に組み込んだ Tri101 プロモーターと GUS 遺伝子との融合および TEF1α プロモーターと GUS 遺伝子との融合によって示されるレポーター活性は,もともとの位置にそれらのプロモーターがある場合に示す活性と一致した.しかしもともとの位置からの正常な Tri4 の転写とは対照的に,遺伝子クラスターの末端に配置した Tri4 プロモーターからは GUS 活性が検出されなかった.従ってクラスター内におけるプロモーターの位置が Tri4 の本来の発現制御にとって重要であると考えられる.

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© 2013 日本マイコトキシン学会
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