2004 年 11 巻 2 号 p. 100-106
目的: 慢性疼痛の治療において, その効果判定に Hospital Anxiety and Depression Scale (以下HAD尺度) が有用であるかを, すでにその有用性が確立されている Profile of Mood States (以下POMS) と比較して検討する. 方法: 慢性疼痛患者58名を対象とし, 治療プログラム前, 1年後におけるHAD尺度, POMS, visual analogue scale (以下VAS) を測定して, その変化率と相関関係を調べた. 結果: HAD尺度「抑うつ」とPOMS「抑うつ-落ち込み」の変化率には有意な相関関係がみられた. また, HAD尺度「不安」とPOMS「緊張-不安」の変化率との間にも有意な相関関係がみられた. さらに, VASとHAD尺度「抑うつ」「不安」, POMS「抑うつ-落ち込み」「緊張-不安」の変化率との間に有意な相関関係がみられたが, POMS「疲労」「活気」「怒り-敵意」「混乱」との間には有意な関係がみられなかった. 結論: HAD尺度は慢性疼痛の治療効果判定に有用であることが判明した.