日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
Print ISSN : 1340-4903
ISSN-L : 1340-4903
硬膜外持続注入による上腹部術後鎮痛に対するフェンタニルの増量とロピバカイン濃度の増加の比較
山崎 豊
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 11 巻 4 号 p. 411-416

詳細
抄録
上腹部術後鎮痛に硬膜外投与するロピバカインの濃度もしくはフェンタニルの量を上げ, どちらが有効なのかを45名で検討した. 麻酔はプロポフォールと10μg/kg以下のフェンタニルの静注で維持し, 適宜硬膜外麻酔を併用した. 手術終了後B群 (n=15) は0.2%ロピバカイン92mlにフェンタニル0.2mgを, F群 (n=15) は0.2%ロピバカイン90mlにフェンタニル0.3mgを, R群 (n=15)では0.3%ロピバカイン92mlにフェンタニル0.2mgを, 4ml/hで硬膜外持続注入した. 術後4時間, 12時間, 24時間に視覚アナログ尺度 (VAS) により, 安静時と咳嗽時の疼痛の程度を調べ, 24時間後に疼痛管理に対する患者の満足度を4段階で評価した. また, 術後病棟で24時間以内に追加投与された鎮痛薬の使用回数を調べた. その結果, 咳嗽時のVASはF群, R群とも術後12時間, 24時間でB群よりも有意に低値であった. また低血圧はB群では認めなかったが, F群とR群ではそれぞれ4例ずつ認めた. 患者満足度の4段階評価では3群間に有意差はなかった. 上腹部術後痛に対して硬膜外投与するロピバカインを0.2%から0.3%にすることと, フェンタニルの投与量を0.2mg/日から0.3mg/日にすることは臨床上同程度の効果であることがわかった.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top