日本ペインクリニック学会誌
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アミトリプチリン, プロプラノロール, クロナゼパムと迷走神経ブロックで改善した難治性吃逆
東澤 知輝
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2005 年 12 巻 1 号 p. 21-24

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抄録

64歳の男性. 14年前から吃逆が出現し, 次第に増強した. 吃逆は1ヵ月に1週間程度の休止期をおいて常時出現していた. 吃逆が誘発する嘔吐による摂食障害があり, 固形物を避けるようになった. それに伴いアルコール嗜癖が始まり, 当院受診までの3年間はアルコール多飲による入退院を繰り返していた. 吃逆の治療として, カルバマゼピン, バクロフェン, クロルプロマジン, ゾニサミド, バルプロ酸, 芍薬甘草湯, メトクロプラミド, スコポラミン, H2拮抗薬, 頸部硬膜外ブロック, 横隔神経ブロックの単独あるいは併用療法を試みたが無効であった. 星状神経節ブロックは吃逆が増悪した. ジアゼパムやクロナゼパムは有効性を示したが, 有効量で起立不能となり, 服薬を継続することができなかった. アミトリプチリン, プロプラノロール, 少量クロナゼパムと迷走神経ブロックの併用療法は, 有効かつ継続可能であり, 投与開始から4ヵ月後に吃逆はほぼ消失した. 吃逆の軽減によって摂食障害が改善され, 体重は43.0kgから56.2kgへと増加した. 摂食障害が改善すると同時にアルコール嗜癖も改善し, 慢性アルコール症による社会的な障害からも脱却することができた.

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